君色Diary

「……ていうか、緑って、風見先生の方が合うだろ」



お互いに一歩も譲らず、ジッと見つめていれば、そんなあたしたちを不思議そうに見ながらそう言った空くん。

すると、急に陽向くんの周りの空気がシュンとした。


あ、ヤバイ……。


そう思った頃には時すでに遅し。



「そうだよ…。どうせ俺は風見以下だよ……。なんで……なんで……」



さっきまでの威勢はどこへやら。

陽向くんはあたしたちに背を向けるように座ると、フルフルと震えながら、ぼそぼそと呟く。

チラッと見た隣では、空くんがきょとんとしながら陽向くんを見ていて。


まぁ……さすがに空くんでも知らないよね…。

さっきのが、陽向くんにとって、禁止ワードだなんて……。


「ふぅ……」と気づかれないように、ため息をつく。

そして、次に来るであろう言葉に、あたしはそっと耳を押さえた。



「なんで俺じゃなくて、風見なんだよ、葉月ー!!!」