君色Diary

「……って、空くん、行かなくていいの?葉月と陽向くんはともかく……茉莉花ちゃん、まだ葉月たちに慣れてないのに……」



花火大会以来、少しずつ接してるっていっても、まだ緊張してるみたいだし……。

葉月も陽向くんも優しいから、なんとかなってるみたいだけど……。


さっき、すぐさまあたしのところへ駆け寄ってきた茉莉花ちゃんを思い出して、少し心配になる。

そんな茉莉花ちゃんは、花火大会後、お兄ちゃんとは順調のようで。

付き合ってるかは定かじゃないけど、お兄ちゃんの仕事が休みのときには、出かけることもあるみたい。

だから補習後、早めに帰って、美容室を覗いていた茉莉花ちゃんは、それをやめて。

今では、空くんと陽向くんの勝負を見てから、帰るようになった。


だいぶ葉月たちとも、打ち解けてきてるけど……。

やっぱりちょっと、心配だし……。



黙ったまま、動かない空くんにそう言えば、ゆっくりとあたしの方へと振り返る。

そして見つめた表情は、少しムッとしていて。



「……七海は、数分前の約束まで、忘れるんだ?」


「え……?……い、いひゃいっ!」



ワケがわからず首を傾げれば、むにっと頬をつままれた。