君色Diary

「おい……なんで、こんなに大人数で来たんだよ?」



あたしよりも、少し遅く立ち上がった空くんは、そう言いながら、呆れた表情で皆を見る。

すると、それに葉月が、いち早く反応して。



「えっとね、私一人で行こうとしたら、陽向もついてきて。図書室に来る途中で、数学の補習をしてた、風見先生と泉さんに会ったから、どうせなら、皆一緒にって」



葉月は陽向くんに、後ろから覆いかぶさるように抱きつかれながらも、苦笑してそう教えてくれる。

でもそれも、すぐにニヤッとした笑みに変わって。



「でも、やっぱり……私一人の方がよかったね。邪魔してごめんね、空」


「……べつに」



ニヤニヤと笑いながら見つめられた空くんは、バツの悪そうな顔をすると、プイッと顔を逸らす。

そんな空くんに“どうしたんだろう?”と首を傾げれば、今度は陽向くんがニッと笑って。



「俺ら、先に体育館行ってるからな!後でちゃんと相手しろよな、空!」


「……あー、はいはい」



空くんは陽向くんに適当に返事をすると、すぐさま手で、追い払うような仕草をする。

それにまた首を傾げれば、4人とも、少し呆れたような顔をしながら、ゾロゾロと図書室を出て行って。