君色Diary

「そ、空、くん……っ、恥ずかし……うぇ……」


「七海は黙ってて。気分悪いんだろ」



空くんは淡々と答えると、人目を気にすることなく早足で歩く。

そして、すぐ近くの公園までくると、日陰のベンチにそっと下ろしてくれた。



「たぶん、軽い熱中症だろ。あんな直射日光のところでしゃがみこんでるから……」


「あ……ありがと……」



空くんは呆れたようにそう言うと、公園の前にある自販機で冷たい水を買ってきてくれて。

それをあたしの額に当てるようにして渡してくれた。

受け取った水はひんやりとして、さっきまでの頭痛が少しマシになった気がする。

“熱中症”と言われてみれば、さっきまで気にならなかった暑さが急に体を襲ってきて。


あたし、バカだ……。

そんな体力もなくて、暑さにも慣れてないのに、あんなところにいて……。


気づけばずっと持っていたレモンソーダも、改めて持ち直してみれば、中身はすでに生ぬるくなっていた。