君色Diary

「え……?」



驚いて顔を上げれば、目の前にいた空くん。

見上げた空くんは私服を着て、あたしを呆れたように見つめていた。



「な、なん、で……」



ドキンドキンと胸が鳴る。

でもそれは、決して幸せなものではなくて。


ヤダ……。

今はまだ……会いたくない……。

どんな顔して会えばいいか、わからないのに……っ。


空くんたちは、昨日の階段でのことを、あたしが見ていたことに気づいてない。

でもあたしは、昨日のことを忘れて話せるほど、大人じゃなくて。


それに……あたし、ひどいこと考えて……。



今までに何度も心の中に生まれた、黒い感情。

それを空くんに知られたくなくて。