なんで抱きしめてたの?
なんで名前で呼んでたの?
幼馴染なだけじゃないの?
考えないようにしていた反動か、そんな疑問が一気に頭に浮かび上がる。
そして、思い出したくないと強く思えば思うほど、その光景は鮮明になって。
「………っ」
ズキズキと痛む胸に、目の奥がじんわりと熱くなる。
空くんを好きになってからというもの、弱くなった涙腺。
それでも、涙を流すことだけはしたくないと上を見上げれば、まぶしい空に、目がくらんで。
「なんで、こんなに晴れてるの……」
あたしの心とは、正反対な、青い空。
それは決して届くことはなくて。
そんな青空は、まるで空くんのようで。

