君色Diary

「……だよ、空……」



途切れ途切れに聞こえた声。

それでもしっかりと、“空”と聞こえて。


階段の方からだ……。

あの声は、茉莉花ちゃん……?

でも、“空”って……?

茉莉花ちゃんは空くんのこと、“水原くん”って……。


ドキンッと胸が大きく跳ねる。

声の方へと近づくほど、聞こえる声ははっきりとして。


盗み聞きなんて、よくない……。

わかってる。

わかってるけど……っ!



「……茉莉花……」



……え……?



聞こえてきたその声に、あたしの動きはピタリと止まった。