君色Diary

「“ちょっと遅れるかも”か……。空くんも行っちゃったし、一人…だなぁ……」



呟きながら、花火大会の広告を見る。

ちゃんと誘えて、“いいよ”とも言ってもらえたのに、どこか気分がスッキリしない。


空くんから、隣に座らないのかと聞いてくれた。

髪留めを綺麗と言ってくれた。

髪留めの水色で、優しく微笑んでくれた。


なのにあたしは、せっかくのチャンスを無駄にして。

できたことなんて、花火大会に誘えたくらい。

でもそれも、茉莉花ちゃんが話に関わった途端、嫌な感情へと変わって。



「……はぁ……」



ため息をつけば、ふと目についた時計。

その長針は10を指していて。


空くんが行ってから、20分くらい経つな……。

茉莉花ちゃんに会えなかったのかな?

遅く……ない?