君色Diary

「……ったく。葉月もケータイ持ってるなら、ちゃんと出ろよな。七海のは知らないし」



葉月と入れ替わりのようにして、図書室に入ってくる空くん。

面倒くさそうにそう言うと、ドカッと葉月がいたところに座って。



「あ、葉月、ケータイはカバンにいれてたから……」


「いや、まぁ、見つかったからいいや。七海もいなかったし、どうせ食堂でしゃべってるか、人いないところで陽向の話してるかだろうと思ってたし」


「……空くん、エスパー?」


「単純な七海の行動を考えれば、大体予想はつくから」



空くんはそう言うと、ポンポンとあたしの頭に手を乗せる。

それにドキッとしていれば、「ケータイ貸して」と手を差し出されて。



「アドと電話、登録しといて。七海のも知ってないと、なにかと不便」


「えっ、あ、はい!」



ケータイを渡せば、空くんは慣れた手つきで操作して、すぐに「はい」と返される。

確認のためにアドレス帳を開いてみれば、“水原 空”と登録されていて。