君色Diary

空くんはやけくそのように言うと、あたしの手をつかんで、ズンズンと歩いていく。

見上げた空くんの後姿。

髪のすきまから見えた耳は真っ赤になっていて。


空くん……可愛いって、言ってくれた……。

聞き間違いじゃないよね?

恥ずかしいのに、言ってくれた……。

たとえお世辞だったとしても、嬉しい……。



「……空くん」


「なに?恥ずかしいことを言わせた七海さん」



ポソッと名前を言えば、振り返らずとも、即座に返事をしてくれる空くん。

そんな些細なことも、嬉しくて。



「……ありがとう」


「……はいはい」



一瞬、少しだけ力の強くなった手。

あたしは空くんよりも赤くなった頬を片手で押さえれば。

嬉しさのあまり、自然と笑みがこぼれた。