数分後、由美ちゃんに引っ張られながら連れてこられたのは一店のカラオケ屋
え、本当に来ちゃったよ...
少し、店の前で茫然としていると、また腕を捕まれた
「え、」
「行こう、時塚さん」
腕を掴んだのは由美ちゃんではなくて、私と一緒に強制的に連れてこられた辻先輩だった
え、先輩もさっきまで滅茶苦茶焦ってたじゃないですか
なんなんですか、その変わり身の早さ
先輩の切り替えの早さに驚いていると腕を引っ張られながらカラオケ店に入ってしまった
本当に歌うんだ....。
その事実にあまり乗り気じゃない私は不満気に先輩を見上げた
だけど、先輩は私の先を歩いている為、私が見上げている事に気付いていない
はあ、と溜め息をつくとふと、気付いた
あれ?
「先輩?」
「ん?」
私の問い掛けに答えながらこちらを一切振り向かない先輩
その先輩が私を引っ張る腕は、力強くも優しい
「耳、赤くないですか?」
「.....」
