「先輩と話して、どこか出かける約束をこじつけるとか!」
「うん」
「どこか遊びに行く約束をこじつけるとか!」
「うん」
「どこかデートに行く約束をこじつけるとか!」
「うん」
「そういう発想はないの!?」
「早い話、先輩とどこかに行きたいんだね?由美ちゃん」
「ごもっとも...!」
そう言いながら、扉の向こうにいる先輩を眺める由美ちゃん
なんか、乙女、だなあ
はっきり言うと私はそういう事にはさっぱりだ
誰か異性の人と出掛けたいだとか、
そういう、恋、みたいな感情
よく分からないんだ
「まあ、とりあえず中に入ろっか」
「そうね」
図書室の扉をガラッと開ける
瞬間カウンターにいた先輩が顔をあげた
そして、私を見ると柔らかく微笑んでくれた
「うわ...かっこいい...!」
傍で由美ちゃんがぽつりと呟いたのが聞こえた
ふうん
やっぱり、ここは由美ちゃんみたいに思ったりするのかな?
あるいは、ドキッてしたり
でも、
私には
「分からない、なあ」
「え?」
「....なんでもない」
