「美園、紅茶でいい~?」

「うん。ありがとー」



啓ちゃんがひょこっとキッチンから顔を出した。

あたしは暖房をつけて、ブレザーを脱ぎながら答えた。



そして、テレビの前までハイハイして、借りてきたDVDを袋から取り出す。

ポポちゃんがそんなあたしを観て、しっぽを振っている。



「ねぇ、啓ちゃん。どっちから観る?」



どっちも気になるんだよなぁ。

どっちの映画もかなりヒットしてたし、絶対おもしろいはず!



あ、優柔の啓ちゃんに聞いても埒が明かないかな。




「…あれ。ねー、啓ちゃん~?」



するとキッチンの奥の方から、「サスペンスー」と返事が返ってきた。




あら、即答?

啓ちゃんはお盆に紅茶とポテトチップスを持って、ニコニコ歩きながら答えた。




「おっけー、サスペンスね!」




あたしはそう言ってDVDをセットし、ソファーの啓ちゃんの隣にぼんっと座って、リモコンを手に取って、再生ボタンを押した。