「ん~」


おさまったと思ったら、もう片方の腕も伸ばしてきて、啓ちゃんにぎゅって包まれる形になった。


「ん…。スー」


啓ちゃんは幸せそうに、むにゃむにゃ言ってまた目を閉じてしまった。



スーって…ちょっと、啓ちゃん!

お願いだから寝ないで!この体勢のまま~!



でも、あったかい。

啓ちゃんの柔らかい髪が、大きい手が、意外と力強い細腕が、あたしを包んでいる。



優しい時間が流れた。

ここがあたしの居場所だなって思った。



どうしよう。

もうどうしょうもなく、啓ちゃんが愛しくて、きゅ~ってなってしまった。

もう…好きだ!!



あたしは、啓ちゃんが寝てるのを確認して、もぞもぞと啓ちゃんの胸に顔をうずめた。

わお、ジャストフィット。




「啓ちゃん……好きだよ」

「甘えたさん♪」

「そうだね、甘えた…って、えっ!!!」


思わず顔を上げると、啓ちゃんがぱっちりおめめを開いて、ニヤニヤあたしを見ていた。

ぎゃーっ何で!?



「ねっ寝てるフリ?!」

「違うもん。今起きたもん」

「ひっひどいっ!」

「何で?」

「だ、だだ、だって…だって」

「俺も好きだよ」



もう啓ちゃん、これ以上、もう反則だよ。

あたしの胸はドキドキ鳴りっぱなしだし、顔はゆで蛸みたいだし、かっこ悪い。


でも、好きだなぁ。

やばいなぁ。


啓ちゃんがあたしの頬にちゅうをした。

二人はくふふと笑い合った。