引き留める間もなく、バタバタと階段を駆け上がるお母さん。

そして、あたしの部屋のドアでひかえめに咳ばらいをし、髪を整えた。

ついでにオチャメに瞬き。


……何でお母さんが、そんな気合い入れてんの〜!


「お母さん、ちょ!待っ…」

「入りますよー!」


遅かった…!
お母さんは軽くノックをし、ガチャっと部屋のドアを開けた。


その瞬間、


「美園〜!ごめん、美園の分のお菓子も食べちゃった〜!」

「えぇ…!?」


うそーん!

啓ちゃんがお母さんに抱き着いている。もちろんあたしと間違えて。


何だ、この図〜!!


あたしが慌てて顔を出し、

「啓ちゃん!」と言うと、啓ちゃんは目を点にしてから、

「うわあぁっ!」

と、慌てて体を離した。



お母さんはびっくりしながらも、啓ちゃんを改めて見て、目がハート。

啓ちゃんは状況が理解できててないみたい。目が漫画みたいに、うずまきになっている。


あたしは思わずため息をついた。