すると、ガンッと音がした。

悲鳴は……聞こえない。



目を開けると、啓ちゃんがとっさにその看板が倒れるのを食い止めていた。



「…よかっ…たぁ…」



腰が抜けるかと思った。

啓ちゃんも、ふうと一安心した様子。




地震はいつの間にか、おさまっていた。

子供達は慌てて、その場から離れる。



啓ちゃんは看板をどかし、また元の場所へ立てかけた。

先生が慌てて啓ちゃんに駆け寄った。




「本当に、ありがとうございました!危ない所を助けていただいて…」



何度もぺこぺこ頭を下げる先生に、啓ちゃんは何度も「いえいえ」と笑って繰り返した。



あたしは子供達を見た。

相変わらず状況は読めてないみたいだけど…でも、無事でよかった。




あたしが笑いかけると、子供達はにんっと無邪気に笑った。




駅についたので、あたし達は子供達と別れた。