「啓ちゃん…大丈夫?今日、花粉すごそう…じゃない?」



恐る恐る聞くと、啓ちゃんは歩き出しながら、へらへら笑って、頼りなく「だいどーぶ、だいどーぶ(大丈夫)」と返した。



あたしは、大丈夫じゃなくない?と、ツッコミそうになりながらも前を歩く啓ちゃんの所へ駆けた。





「今日、いいのあるといいねぇ」

「うん。俺、家具とか雑貨とか見るの好きなんだよね」

「あ、そうなんだ。あたしも好きだよ。何か、和むよね」

「うん。一日見てても飽きないよ」

「あ、もしかして啓ちゃん、照明器具とかにウルサイ人でしょ?」




啓ちゃんはあたしを指差して、「あ、分かった?」とおどけて笑った。

啓ちゃんの部屋の雑貨オシャレだもんね。




そんな他愛もない話をしながら階段を下りていると、急に電車のベルが鳴った。




プルルルー




「あっ!電車出ちゃう!」

「急げ!」



わっ。

啓ちゃんがあたしの手を取った。




そして、ギリギリ電車に乗り込むことに成功。