梅の香り、桜の香り……甘い春の香りがいい感じ。

何気にあたしは春生まれだったりする。



あたしは待ち合わせの駅前の時計台で、啓ちゃんの事を待っていた。

通り過ぎていく人々のファッションも心なし色が明るくなって、春らしい。



今日は楽しみすぎて早起きしすぎちゃったなぁ~なんて、一人でニヤけていると、「美園~」と声が聞こえた。



あたしは耳をダンボにする。

向こうから啓ちゃんが歩いてくるのが見えた。



あ、啓ちゃん、今日は緑色のジャージみたいなの着てる。

あたしは嬉しくて、思わず大きく手を振った。




「啓ちゃーん!」



しかし…。


ん?




なぜか近づいてくる啓ちゃんの顔は険しい。

ずんずん近づく度に、啓ちゃんの顔が険しく…!?



えっ?えぇ?!






「ふえーっくしょい!」

「うわぁ!」

「…あ~…」



びっ…くりしたぁ…。



啓ちゃんは前につんのめりながら、大きくくしゃみをした。

あたしは目をパチクリ。



啓ちゃんは鼻をかいて、へらって笑って「おはよう」って言った。