「……美園?おーい」

「…へ?」



また…妄想してしまった!

しかも、すごいブッ飛んだ妄想…。



はぁ、進歩なし。

啓ちゃんは「変なの」と笑って、足元の石ころを蹴飛ばした。




そして、あーあ。

バス停に着いちゃった。



しかもバスはちょうど到着した様子。

二人は立ち止まり名残惜しそうに向かい合った。




「じゃあ、明日、11時に駅で」

「うん!じゃあ、明日ね」




啓ちゃんは愛らしく笑って手を振った。

あたしはニヤけながら、手を振り返した。



バスが走り出してからも、手を振り続けた。




バスの運転手さんが、意味深な笑顔であたしを見ていたので、啓ちゃんが見えなくなってからあたしは、ちょっと恥ずかしい想いをした。





ま、いっか。



あ、月がキレイ。

三日月だぁ。




あたしは窓から空を見上げながら、さっき別れたばっかりなのに、もう啓ちゃんに会いたいと思った。