「ふ~、ドキドキするねっ」


啓ちゃんはそう言って、「ハイ」とあたしにクッションを手渡し、自分もぎゅっとクッションを抱きしめた。



ふふ、かなり興奮してるな?啓ちゃん。

しばらく予告編が続く。




「そういえば…結構これ怖いんだってね。鮫っちが言ってた」

「えっ、そうなの…?」



啓ちゃんが不安そうな声を出すから、軽くビビるあたし…。

すると啓ちゃんは、画面を指差して「あっ始まる!」と言って、あたしにもう一歩近づいた。




ほとんどべったり。

えーと…。




「……ち、近くない?」

「そう?」



ひーっ、啓ちゃん、ドアップ!

(でも肌キレイ。うらやましい!)




クッションを抱きしめて軽く首を縮める啓ちゃんに、あたしの胸はリンリン鳴りっぱなし。




それにしても啓ちゃん。

ポテチを口に加えたまま、「ん?」ってこっち見るのはやめなさい!



映画所じゃなくなっちゃうから~!