先輩は首を振ると、後輩も笑いながら席へと戻って行った。
「女子高生に囲まれるってことは、そーとーカッコいい先生なんだな」
「そうなんでしょうね。
それか、男子生徒がよほどブスか」
私はフードを取って、先輩と笑い合う。
京都まであと一時間ほど。
彼のことも気にかかるのは事実なんだけど、そうとばかりも言ってられない。
「彼のことは...この後に考えます」
「....」
「先輩?」
俯く先輩が気になって、下から覗き込んだ。
「先輩?」
「...いや、今お前のことねらい目かな...って」
「はぁ?」
「俺のことじゃなくて、京都の輩だよ。
変な奴に絡まれんなよ」
先輩はそう言うと、笑いながら席に戻っていく。
先輩と席を替わっていた子は、頬を染めながら席に帰ってきた。
「先輩のおかげで、先輩と二回も話しちゃいました」
「先輩、先輩になってるから」
「ヤバイですぅ~」