新幹線の中。
高校時代を思い出すほどの、賑やかな四号車。
私の勤める会社が、今日から二泊三日の社員旅行。
四号車は貸切であって、会社の社員しかいない。
だからもう、お祭り騒ぎ。
社長も一緒になって、盛り上がっている状態だ。
「ここ、座っていい?」
「えっ?」
私に声をかけてきたのは、歳が五つ上の先輩。
仕事が出来て、女子に紳士的な先輩だ。
「ここ、あの子が」
先輩とその子は部署が違うから、名前を知らないと思い、指を使って言う。
すると先輩は、名前を知っていたようで、ただ頷く。
「彼女には、許可を取っている」
「はぁ...じゃあ、いいですけど」
「悪いね。ドンちゃん騒ぎがスキじゃないんだ」
「見て分かります」
先輩は笑うと、私の顔を覗き込んだ。