『えっ?
先生大丈夫ですか?私、着いていきますよ?』
あの女教師に違いないのに、彼は私に見せ付けるかのように、スピーカにして私に聞かせた。
「ありがたいんですけど....」
『着いていきますよ。
生徒達はまだ自由行動ですし。』
私は聞きたくない声に耳を塞ぎたくなって、しゃがみこむ。
すると彼は私の目の前まで来て、私と同じ目線になった。
「彼女でも無い女性に、着いてこられても嬉しく無いですし、うざったいですよ?
意味も無く腕を絡ませたりする女性も無理ですね....
つまり、俺は先生のすべてが無理です。
それに俺、彼女一筋なんで」
私は開いた口を閉ざすことが出来なくて、そのまんまの顔で彼を見つめる。
まだ切られていない携帯からは、他の生徒達の悲鳴が聞こえる。
そのほとんどが、彼と女教師が付き合っていると勘違いしていた女子生徒のもの。
そしてそのすべてが、女教師への怒りの声だった。
「同業者に...いいの?」
あまりにも冷たかった彼の言葉。
いくら私にじゃないとは言え、なんだか気が引けた。
それにとりあえず、今は修学旅行中なのでは?