ナーダに何度も体を揺すられて
“ユリア様、早く食べて下さい。せっかくの食事が冷めてしまいます”
と急かされ、気だるい体をなんとか動かして食事を終えたユリアは、昨夜守ってくれたお礼を言おうとライキを探しに庭に来ていた。
黒い瞳に映るのは整然と手入れされていた綺麗な庭の荒れた様。
何本かの木は枝がぽっきりと折れ無残にも地面に垂れ下がり、ライキが大切にしている花の庭も踏み荒らされて、まるで嵐が過ぎ去った後のように茎が折れて花弁が方々に散らばっていた。
ユリアが寝ている間に相当な争いがここで繰り広げられていたことが想像できる。
――こんな状態になってるなんて。
ライキは大丈夫なのかしら。
怪我してないといいけど・・・。
庭の惨状を目にするたびに、不安な気持ちが大きくなっていく。
いくらライキが強くても、多勢に無勢ということもある。
怪我もなく無事であることを願いながら、白い花の生け垣に囲まれた庭を覗き込んだ。
「ライキ?・・・いないわ」
お礼を言いたいと言ったら、ナーダはこう言っていた。
“今の時間であれば、ライキはいつもの庭にいるでしょう。・・・いいえ、ユリア様。あの者は徹夜など平気です。10日ほど眠らなくても大丈夫ですから”
ここにいないということは、やっぱりどこか怪我をして、休んでるんじゃ・・・。
瞳を伏せて考え込むユリア。
怪我を負って寝込んでいるライキの姿を思い浮かべてしまう。
「ユリア、どうしたんだ?」
急に背後から掛けられたのんびりとした声。
驚きつつも、すぐにライキの声だと分かり、重く沈んでいた心が一気に晴れていった。
振り返ると、かすり傷一つないライキがそこに立っていて、不思議そうな顔をして見下ろしていた。
手には、何処で捕まえたのか、2匹の小動物をぶら下げている。
「ライキ、無事だったのね!?良かった、私心配で・・・。だって、庭がこんな風になってるから・・・きっとすごく大変だったんだろうって、思って。・・・ごめんなさい、ありがとうライキ」
「そんなの気にしたらダメだぞ、ユリア。もっと信じてくれよ。昨日見た通り、俺、強いだろ?だから平気なんだ。あんなの、なんてことないからな・・・俺が負けたことがあるのは、ラヴル様だけだぞ」
そう言って、ライキは何か懐かしむような瞳で遠くを見やった。
“私に勝てるまでだ。私に勝てるような自信ができたら、また挑んで来い。それまでだ。それまででいい。ライキ、私に忠誠を誓え―――”
“ユリア様、早く食べて下さい。せっかくの食事が冷めてしまいます”
と急かされ、気だるい体をなんとか動かして食事を終えたユリアは、昨夜守ってくれたお礼を言おうとライキを探しに庭に来ていた。
黒い瞳に映るのは整然と手入れされていた綺麗な庭の荒れた様。
何本かの木は枝がぽっきりと折れ無残にも地面に垂れ下がり、ライキが大切にしている花の庭も踏み荒らされて、まるで嵐が過ぎ去った後のように茎が折れて花弁が方々に散らばっていた。
ユリアが寝ている間に相当な争いがここで繰り広げられていたことが想像できる。
――こんな状態になってるなんて。
ライキは大丈夫なのかしら。
怪我してないといいけど・・・。
庭の惨状を目にするたびに、不安な気持ちが大きくなっていく。
いくらライキが強くても、多勢に無勢ということもある。
怪我もなく無事であることを願いながら、白い花の生け垣に囲まれた庭を覗き込んだ。
「ライキ?・・・いないわ」
お礼を言いたいと言ったら、ナーダはこう言っていた。
“今の時間であれば、ライキはいつもの庭にいるでしょう。・・・いいえ、ユリア様。あの者は徹夜など平気です。10日ほど眠らなくても大丈夫ですから”
ここにいないということは、やっぱりどこか怪我をして、休んでるんじゃ・・・。
瞳を伏せて考え込むユリア。
怪我を負って寝込んでいるライキの姿を思い浮かべてしまう。
「ユリア、どうしたんだ?」
急に背後から掛けられたのんびりとした声。
驚きつつも、すぐにライキの声だと分かり、重く沈んでいた心が一気に晴れていった。
振り返ると、かすり傷一つないライキがそこに立っていて、不思議そうな顔をして見下ろしていた。
手には、何処で捕まえたのか、2匹の小動物をぶら下げている。
「ライキ、無事だったのね!?良かった、私心配で・・・。だって、庭がこんな風になってるから・・・きっとすごく大変だったんだろうって、思って。・・・ごめんなさい、ありがとうライキ」
「そんなの気にしたらダメだぞ、ユリア。もっと信じてくれよ。昨日見た通り、俺、強いだろ?だから平気なんだ。あんなの、なんてことないからな・・・俺が負けたことがあるのは、ラヴル様だけだぞ」
そう言って、ライキは何か懐かしむような瞳で遠くを見やった。
“私に勝てるまでだ。私に勝てるような自信ができたら、また挑んで来い。それまでだ。それまででいい。ライキ、私に忠誠を誓え―――”


