なんとか二人の間に手を捩じ込んで厚い胸板を押し返しながら見上げれば、時期にそうなる、と呟いた優しい瞳が向けられていて少しだけどきっとしてしまう。
名前を口にして以来、どんどんセラヴィの思惑通りになっていってる気がする。
もっと気を引き締めないと、流されてしまう。
「・・・貴女は環境の変化に気付いているか」
今までの笑みを含んだようなものから一転し、真剣さを帯びた声で言われてハッと気付く。
――――そういえば・・・。
セラヴィの顔がはっきり見えるなんて。
もっと暗いと思っていたけれど―――
「私が入った際はまだ薄暗かった」
壁にも床にも何も置かれてないただ四角いだけの広い部屋。
見廻してもどこにも窓もランプシェードもないのに、仄かなこの明るさは一体何処から来るのか。
それに、微かな空気の流れを感じる。
ドアは?と見れば、あるべきところには黒い幕のようなものがあった。
―――歴代の妃たちは、こんなところで何をしていたのか。
ぴっちりと閉鎖された空間は、古びているけれどすきま風が入りそうなひび割れも見当たらない。
「ふむ、あの場所より空気の流れが起こっている。貴女がここに来た為門が開き始めたようだ。私も見るのは初めてだ。何処に通じているのかも分からん。貴女はあの先に行くのだ」
―――門?あの先って・・・。
セラヴィが指差す方を見れば、白い壁の一部がほんのりと緑色に染まっていた。
どんどん濃くなってて、心なしか光っているようにも見える。
そこから微風が吹き込んで、傍の床に波のような模様を描いていた。
あまりにも、想像していたことと違う。
調度品や残された持ち物から人の想いや人の世界が垣間見えるどころか、こんなにしっかり魔界の雰囲気を帯びているなんて、詐欺だわ。
セラヴィはしきりに知らぬ存ぜぬと言うけれど、妃になるための試練を受けるよう仕向けられてる気がするのは、私の被害妄想なのかしら。
どうしても、行かなくちゃいけない?と聞いても無駄よね、きっと。
「この城は貴方のものなのに、知らないことがあるなんて、不思議だわ」
「魔王といえど、万能ではないということだ。自らの病を治すことが出来んのもそのひとつ」
胸を押さえる仕草をしたセラヴィの瞳は哀しげだ。
死期が迫る身。
魔王として即位したのにやりたいことの半分も出来ずに終えるのは、とても無念なこと。
私が妃になれば、病の進みを止め、在位期間が延びる―――
名前を口にして以来、どんどんセラヴィの思惑通りになっていってる気がする。
もっと気を引き締めないと、流されてしまう。
「・・・貴女は環境の変化に気付いているか」
今までの笑みを含んだようなものから一転し、真剣さを帯びた声で言われてハッと気付く。
――――そういえば・・・。
セラヴィの顔がはっきり見えるなんて。
もっと暗いと思っていたけれど―――
「私が入った際はまだ薄暗かった」
壁にも床にも何も置かれてないただ四角いだけの広い部屋。
見廻してもどこにも窓もランプシェードもないのに、仄かなこの明るさは一体何処から来るのか。
それに、微かな空気の流れを感じる。
ドアは?と見れば、あるべきところには黒い幕のようなものがあった。
―――歴代の妃たちは、こんなところで何をしていたのか。
ぴっちりと閉鎖された空間は、古びているけれどすきま風が入りそうなひび割れも見当たらない。
「ふむ、あの場所より空気の流れが起こっている。貴女がここに来た為門が開き始めたようだ。私も見るのは初めてだ。何処に通じているのかも分からん。貴女はあの先に行くのだ」
―――門?あの先って・・・。
セラヴィが指差す方を見れば、白い壁の一部がほんのりと緑色に染まっていた。
どんどん濃くなってて、心なしか光っているようにも見える。
そこから微風が吹き込んで、傍の床に波のような模様を描いていた。
あまりにも、想像していたことと違う。
調度品や残された持ち物から人の想いや人の世界が垣間見えるどころか、こんなにしっかり魔界の雰囲気を帯びているなんて、詐欺だわ。
セラヴィはしきりに知らぬ存ぜぬと言うけれど、妃になるための試練を受けるよう仕向けられてる気がするのは、私の被害妄想なのかしら。
どうしても、行かなくちゃいけない?と聞いても無駄よね、きっと。
「この城は貴方のものなのに、知らないことがあるなんて、不思議だわ」
「魔王といえど、万能ではないということだ。自らの病を治すことが出来んのもそのひとつ」
胸を押さえる仕草をしたセラヴィの瞳は哀しげだ。
死期が迫る身。
魔王として即位したのにやりたいことの半分も出来ずに終えるのは、とても無念なこと。
私が妃になれば、病の進みを止め、在位期間が延びる―――


