いつも通りの薄暗い廊下。
相変わらず何もない壁。
違うのは響く足音だけ。
廊下を歩くのは初めてだ。
それだけのことで少しだけわくわくして嬉しくなる。
不安の方が大きいけれど、楽しみにもなってくるから不思議なものだ。
「ティアラの部屋は、何処にあるのですか?」
「この下だ。階段を下りていく」
「階段、ですか?一度も見たことがないわ」
独り言のように、一体どこに?とブツブツ言ってると、セラヴィがぴたと止まった。
灯りに照らされる瞳が、何だか無駄にキラキラして見える。
「・・・貴女には見えないだけだ。そこにあるぞ」
「・・・はい?そこ、ですか?」
指し示された場所は、どう見ても、ただの平らかな壁だ。
「見てるがいい」
セラヴィが掌を当てると、石の壁がみるみる黒く侵食されていき、ぽっかりと大きな穴が口開いた。
どうやら階段が出現したらしい。
けれど、灯りが届かないものだから、どう目を凝らしても真っ暗な穴にしか見えない。
一歩踏み出せば真っ逆さまに落ちていきそう。
ヴィーラ乗り場から落ちたときの感覚が体に蘇ってきて、堪らずに一歩後退りをする。
「ここを、降りるのですか?」
灯りもなく、このまま?
ごくんと喉を鳴らす。
「怖いか。貴女が歩きたいと言ったのだが」
・・・っ・・だって、こんなのだとは聞いてないもの。
最初に言ってくれればいいのに。
セラヴィは暗くても平気なのだわ、きっと。
私みたいな能力のない者の気持ちなんてちっとも分からないだろうし、なんと言っても魔王だもの、何でも出来るもの。
隣に悠然と立って、こちらの様子を窺う様が何だかとてもしゃくにさわる。
灯りを頼むのも悔しいと感じてしまう。
転げ落ちて怪我をしたら、それを理由に妃を断れば良いわ。
何も出来ない娘じゃない、私だってやればできるんだから。
だから、これだって―――・・・。
「お・・・降りてみせます」
「ふ・・無理をするな」
愉快げに笑い声を漏らしたセラヴィがぱちんと指を鳴らすと、穴の方から、ぽぽっと聞き覚えのある音が聞こえてきた。
ぼやぁと階段が浮かび上がる。
どうだ?とでも言いたげに此方を見たセラヴィから、あからさまに顔をそむけてみせた。
もう意地悪過ぎて言葉も出ない。
やっぱり、この方の妃になんてなれない。
暫くは、口もきいてあげないもの、たっぷり困るといいわ。
ぷんすかつんつんした勢いに任せ、セラヴィの腕を引っ張ってずんずん階段を降りた。
私にしては、最速だったに違いない。
セラヴィが驚いていたのだから。
相変わらず何もない壁。
違うのは響く足音だけ。
廊下を歩くのは初めてだ。
それだけのことで少しだけわくわくして嬉しくなる。
不安の方が大きいけれど、楽しみにもなってくるから不思議なものだ。
「ティアラの部屋は、何処にあるのですか?」
「この下だ。階段を下りていく」
「階段、ですか?一度も見たことがないわ」
独り言のように、一体どこに?とブツブツ言ってると、セラヴィがぴたと止まった。
灯りに照らされる瞳が、何だか無駄にキラキラして見える。
「・・・貴女には見えないだけだ。そこにあるぞ」
「・・・はい?そこ、ですか?」
指し示された場所は、どう見ても、ただの平らかな壁だ。
「見てるがいい」
セラヴィが掌を当てると、石の壁がみるみる黒く侵食されていき、ぽっかりと大きな穴が口開いた。
どうやら階段が出現したらしい。
けれど、灯りが届かないものだから、どう目を凝らしても真っ暗な穴にしか見えない。
一歩踏み出せば真っ逆さまに落ちていきそう。
ヴィーラ乗り場から落ちたときの感覚が体に蘇ってきて、堪らずに一歩後退りをする。
「ここを、降りるのですか?」
灯りもなく、このまま?
ごくんと喉を鳴らす。
「怖いか。貴女が歩きたいと言ったのだが」
・・・っ・・だって、こんなのだとは聞いてないもの。
最初に言ってくれればいいのに。
セラヴィは暗くても平気なのだわ、きっと。
私みたいな能力のない者の気持ちなんてちっとも分からないだろうし、なんと言っても魔王だもの、何でも出来るもの。
隣に悠然と立って、こちらの様子を窺う様が何だかとてもしゃくにさわる。
灯りを頼むのも悔しいと感じてしまう。
転げ落ちて怪我をしたら、それを理由に妃を断れば良いわ。
何も出来ない娘じゃない、私だってやればできるんだから。
だから、これだって―――・・・。
「お・・・降りてみせます」
「ふ・・無理をするな」
愉快げに笑い声を漏らしたセラヴィがぱちんと指を鳴らすと、穴の方から、ぽぽっと聞き覚えのある音が聞こえてきた。
ぼやぁと階段が浮かび上がる。
どうだ?とでも言いたげに此方を見たセラヴィから、あからさまに顔をそむけてみせた。
もう意地悪過ぎて言葉も出ない。
やっぱり、この方の妃になんてなれない。
暫くは、口もきいてあげないもの、たっぷり困るといいわ。
ぷんすかつんつんした勢いに任せ、セラヴィの腕を引っ張ってずんずん階段を降りた。
私にしては、最速だったに違いない。
セラヴィが驚いていたのだから。


