お願いすればすかさず返ってきた厳しめの声。
威厳が含まれたそれに少し怯むけれど、ここで負けてはいられないから頑張って食い下がってみる。
「どうして?出掛けるのもバルの馬車に乗るのも初めてなのよ。自分の脚でしっかりと味わいたいわ。ね、お願い」
「お前がこれに乗るのは二度目だ。頼む、もう黙ってくれ。でないと、今必死に我慢してることをするぞ。嫌われるのは覚悟の上だ。どうする?」
そう言って、ピタッと止まって見下ろしてくるバル。
そんな風に言われると、何も言えなくなってしまうじゃない。
・・・嫌われることをする・・・
誰に?
なんとも怖い意味を含んだこの言葉、以前もどこかで聞いたような・・・。
というか、それよりも。
二度目だなんて全く覚えがないんだけど。
馬車なんて、ラヴルと夜会に行った時乗ったきりで、あとは―――・・・?
どう考えても身に覚えがなくて、首を傾げながら聞いてみた。
「いつのことなの?」
考えているうちに歩みは再び進んでいて、いつの間にか乗り込む寸前のところまで来ていた。
馭者が畏まった姿勢でバルの命令を待っている。
「―――開けろ。・・・一度目、お前は眠っていたから覚えてないのは当然だ」
「ぇ・・・それなら」
初めても同じじゃないの・・・。
というのは、ギラリと光るブラウンの瞳を見て黙っておくことにした。
どうにも迫力がありすぎるわ。
どうしてこんなに怒ってるのかよくわからない。
“ただし、道中は必ず俺の言うことを聞け”
やっぱり、この言いつけを守ってないからかしら。
馬車の中で何事も起きないことを、願っておこう・・・。
しとしとと降り続く雨の中をゆるゆると進む車列。
先頭を行くのは、着飾った馬に乗った武装した騎士団長ルガルド他3名。
しっかり専用の雨合羽を着込んでいて、懸念していたようなずぶぬれは避けられている。
続くは、バルとユリアの乗る焦げ茶色の馬車。
大きな車体に旗と同じ狼の絵が描かれ、一目で王族のそれとわかる風体。
その後ろに再び騎士団員が並び、どこかそわそわしてる様子の医師ジークが乗る小さめの医療馬車が後に続いた。
最後方には先頭と同じ格好をした衛兵達がずらりと並んで守りを固める。
不機嫌さ満開だったアリはどこにいるかと言えば、皆と同じく雨合羽を着こんで馬に乗っていた。
武器は持っていないが、今は馬車のすぐ隣にいて絶えず周囲に目を光らせている。
必要あれば前後を飛び回り、いつでも指示を出せるようにしていた。
なんだかんだ文句を浮かべつつもきっちりと職務をこなす姿は、流石にバルの信頼を得る側近といったところだ。
威厳が含まれたそれに少し怯むけれど、ここで負けてはいられないから頑張って食い下がってみる。
「どうして?出掛けるのもバルの馬車に乗るのも初めてなのよ。自分の脚でしっかりと味わいたいわ。ね、お願い」
「お前がこれに乗るのは二度目だ。頼む、もう黙ってくれ。でないと、今必死に我慢してることをするぞ。嫌われるのは覚悟の上だ。どうする?」
そう言って、ピタッと止まって見下ろしてくるバル。
そんな風に言われると、何も言えなくなってしまうじゃない。
・・・嫌われることをする・・・
誰に?
なんとも怖い意味を含んだこの言葉、以前もどこかで聞いたような・・・。
というか、それよりも。
二度目だなんて全く覚えがないんだけど。
馬車なんて、ラヴルと夜会に行った時乗ったきりで、あとは―――・・・?
どう考えても身に覚えがなくて、首を傾げながら聞いてみた。
「いつのことなの?」
考えているうちに歩みは再び進んでいて、いつの間にか乗り込む寸前のところまで来ていた。
馭者が畏まった姿勢でバルの命令を待っている。
「―――開けろ。・・・一度目、お前は眠っていたから覚えてないのは当然だ」
「ぇ・・・それなら」
初めても同じじゃないの・・・。
というのは、ギラリと光るブラウンの瞳を見て黙っておくことにした。
どうにも迫力がありすぎるわ。
どうしてこんなに怒ってるのかよくわからない。
“ただし、道中は必ず俺の言うことを聞け”
やっぱり、この言いつけを守ってないからかしら。
馬車の中で何事も起きないことを、願っておこう・・・。
しとしとと降り続く雨の中をゆるゆると進む車列。
先頭を行くのは、着飾った馬に乗った武装した騎士団長ルガルド他3名。
しっかり専用の雨合羽を着込んでいて、懸念していたようなずぶぬれは避けられている。
続くは、バルとユリアの乗る焦げ茶色の馬車。
大きな車体に旗と同じ狼の絵が描かれ、一目で王族のそれとわかる風体。
その後ろに再び騎士団員が並び、どこかそわそわしてる様子の医師ジークが乗る小さめの医療馬車が後に続いた。
最後方には先頭と同じ格好をした衛兵達がずらりと並んで守りを固める。
不機嫌さ満開だったアリはどこにいるかと言えば、皆と同じく雨合羽を着こんで馬に乗っていた。
武器は持っていないが、今は馬車のすぐ隣にいて絶えず周囲に目を光らせている。
必要あれば前後を飛び回り、いつでも指示を出せるようにしていた。
なんだかんだ文句を浮かべつつもきっちりと職務をこなす姿は、流石にバルの信頼を得る側近といったところだ。


