魔王に甘いくちづけを【完】

室長が膝を折って静かに退室していく。

ぱたん・・とドアが閉められた音を確認すると、バルは天蓋の上を見た。

見下ろす白フクロウさんのガラス玉の瞳が、いつもよりもギラギラと輝いて見えた。

雰囲気がいつもと違って見えて、ちょっぴり怖い。



「アレが、お前のペットの白フクロウか・・・」

「えぇ、そうなの。綺麗な子でしょう。でも・・・何だか機嫌が悪いみたいだわ」

「・・・あぁ、そうだな」



見上げてるバルの横顔も険しい。

もしかしたら、ペットは駄目だと叱られてしまうのかも。

双方ぶつかり合う視線が鋭く感じる。

白フクロウさんも警戒してるようで、さっきからずっとむずむずと身動ぎをしている。

今にもこちらに飛んできそうな感じで、互いに目を逸らすことなく睨みあってて何かが始まりそうでドキドキしてきた。



バルの爪と白フクロウさんの爪、どちらも鋭くて危険なんだもの。

なんとかしないと―――


白フクロウさんとバルの間に入り込むと、案の定バルの瞳はとても鋭く光っていた。

こんなの、見たことがない。

どうしてそんなに怖い顔をしているの?



「あの、バル?あの子、何故かこのお部屋が気に入ったみたいなの。ずっとあそこにいるものだから、いつの間にかペットになってたのよ。可笑しいでしょう?今はあんな風だけど、普段はとても大人しいの。一度だけ抱っこしたことがあるのよ」



懸命に話しかけるけれど、バルの瞳はちっとも動かない。

出される声も低くて唸っているよう。


「お前はアレを抱えたというのか・・・そうか―――」

「リリィのおかげなの。私も驚いたのだけど、あの子、不思議な力を持ってるわ。あの白い羽はふわふわに見えるでしょう?けれど意外にも固かったの」

「リリィか・・・お前はアレを気に入ってるんだな?」



私を通り越してずっと上を睨んでいたバルの瞳が、ここでようやく下がった。

声も普段に近いものになってる。



「そうなの。だからお願い、そんなに怖い顔しないで・・・バルが怖いから、あの子は警戒しているの。それよりも、もうすぐ夜会が始まってしまうわ。主賓の貴方がいなければ」



懇願するように見つめていると、険しかった表情が徐々に柔らかに変わっていった。

と同時に、瞳にも優しさが見え始める。