魔王に甘いくちづけを【完】

「これを、10割・・・」


ランチの後、ため息をつきながら課題を見下ろす。

手加減なんて一切されてない完璧な課題。

結構頑張ってると思うけれど・・・。

大体偽の妃候補なのに、どうしてこんなに頑張らなくちゃいけないのかしら?

全てを放り出してしまいたい衝動にかられるけれど、ここに置いて貰ってる限りはこれが勤めと割り切るしかない。


バルが戻ってきたら必ず苦情を言うと決めて課題に取り組む。

何問か解いた頃、頭を休めつつアリの言っていたことを思い返した。




―――想う方がいる―――


あのアリに好かれるなんて、そんな女性はきっと完璧なお方なのに違いない。

美しくて優雅で頭が良くて。

でないと、好かれた女性がかわいそうだもの。

とても理想が高そうだから相手の女性にも完璧さを求めそう。

一つでも失敗したら無表情に冷たく責められるのだわ。

想像しただけで気の毒になってくる。

この城にいるお方かしら。

侍女たちは、完璧に失恋ね・・・。

結果的には良かったと思うけれど、どうやって伝えたらいいのかしら・・・。


キラキラ笑顔の可愛い侍女たち。

できれば表情を曇らせたくないけれど。


アリの性格をこと細かく話して


“好かれなくて良かったわね”


なんて、言えないわよね・・・。


どれだけ考えても正解なんて一つも見当たらなくて、ある意味目の前にある課題よりも難しい。



頭を痛めつつ外を見る。

青い空に白い雲が流れ今日も穏やかな天気。

ここは本当に雨が降らない。


“悪天候にみまわれておられるそうです”


そう伝えられてから随分と日が経ってる。

そろそろ何か連絡があってもよさそうだけど・・・。

帰るのは、いつになるのかしら。

お願いしたいことが、たくさんある。

ついでに、文句も言いたい―――