ばしっと目が合ったものだからぷんとそっぽを向く。
「・・・分かってます」
むっすりとしてるのを隠さず声に出して伝える。
―――ほんとに嫌みなお方なんだから。
特技に“人を怒らせること”という一文を加えたほうがいいとお勧めするわ―――
機会があれば絶対にそうアドバイスしようと心に決めた。
そんな日が来るとは思えないけれど。
いつまでも怒っていてもしょうがないので問題を解き始める。
時たま、うーん・・・と唸りながら答えを探して記憶の中をさ迷う。
アリの問題はマリーヌ講師のものより難しい気がする。
頭の切れる人は、そうでない人の気持ちなんて分からないんだわ、きっと。
これだって簡単に出来るものだと思っていそうだもの。
それでもなんとかカリカリと書き進める手を止めずに半分くらい答えの欄を埋めた頃、静かな部屋の中にコンコン・・・とノックの音が響いた。
ドアが少しだけ開いて「アリ殿、少々宜しいですか」と、聞き覚えのある高めの声が聞こえてきた。
姿は見えないけれどあの声は確か、騎士団長のルガルドのものだ。
何かあったのかしら・・・。
「ルガルド殿・・・どうぞ。お入り下さい」
「いいえ、私はここで。すぐに済みますので―――」
「あぁ、そういえばそうでした――――・・・少々出て来ます。すぐそこの廊下に居りますので何かあれば声をあげて下さい。ドアは開けておきます。・・・ルガルド殿、何が―――・・・」
出ていく背中を見つめる。
―――きっと、私に聞かれたくないことよね・・・
もしかしたら、マリーヌ講師のことかもしれない。
つんとしてて苦手なお方だったけれど、彼女もある意味被害者なんだもの。
実害はなかったのだから寛大な処置をとお願いしてはあるけれど―――
何を話してるのかとても気になるけれど、大きな背中の向こうからぼそぼそと微かに届いてくるその声を、なんとか聞き流しながら問題に必死に取り組み続ける。
何しろこの問題数で9割取らないといけないんだもの。
少しでも多く正解しておかないと
“貴女様には失望致しました”
とか何とか言って、アリのスパルタ講義が始まりそうで想像するだけでもうんざりしてくる。
それに何より、城下見物がかかっているんだから。
「・・・・了解しました。ではそのようにお願い致します」
ぱたん・・・と静かにドアが閉められた後、スタスタと此方に近づいてくる気配がしたので顔を上げると、無表情ながらにも瞳が曇ってるように見えた。
・・・何だか嫌な予感がする。
良くないお知らせなのかも・・・。
「どうかしたのですか・・・?」
「貴女様には残念なお知らせです。それは、我々にとってもなのですが―――・・・」
「・・・分かってます」
むっすりとしてるのを隠さず声に出して伝える。
―――ほんとに嫌みなお方なんだから。
特技に“人を怒らせること”という一文を加えたほうがいいとお勧めするわ―――
機会があれば絶対にそうアドバイスしようと心に決めた。
そんな日が来るとは思えないけれど。
いつまでも怒っていてもしょうがないので問題を解き始める。
時たま、うーん・・・と唸りながら答えを探して記憶の中をさ迷う。
アリの問題はマリーヌ講師のものより難しい気がする。
頭の切れる人は、そうでない人の気持ちなんて分からないんだわ、きっと。
これだって簡単に出来るものだと思っていそうだもの。
それでもなんとかカリカリと書き進める手を止めずに半分くらい答えの欄を埋めた頃、静かな部屋の中にコンコン・・・とノックの音が響いた。
ドアが少しだけ開いて「アリ殿、少々宜しいですか」と、聞き覚えのある高めの声が聞こえてきた。
姿は見えないけれどあの声は確か、騎士団長のルガルドのものだ。
何かあったのかしら・・・。
「ルガルド殿・・・どうぞ。お入り下さい」
「いいえ、私はここで。すぐに済みますので―――」
「あぁ、そういえばそうでした――――・・・少々出て来ます。すぐそこの廊下に居りますので何かあれば声をあげて下さい。ドアは開けておきます。・・・ルガルド殿、何が―――・・・」
出ていく背中を見つめる。
―――きっと、私に聞かれたくないことよね・・・
もしかしたら、マリーヌ講師のことかもしれない。
つんとしてて苦手なお方だったけれど、彼女もある意味被害者なんだもの。
実害はなかったのだから寛大な処置をとお願いしてはあるけれど―――
何を話してるのかとても気になるけれど、大きな背中の向こうからぼそぼそと微かに届いてくるその声を、なんとか聞き流しながら問題に必死に取り組み続ける。
何しろこの問題数で9割取らないといけないんだもの。
少しでも多く正解しておかないと
“貴女様には失望致しました”
とか何とか言って、アリのスパルタ講義が始まりそうで想像するだけでもうんざりしてくる。
それに何より、城下見物がかかっているんだから。
「・・・・了解しました。ではそのようにお願い致します」
ぱたん・・・と静かにドアが閉められた後、スタスタと此方に近づいてくる気配がしたので顔を上げると、無表情ながらにも瞳が曇ってるように見えた。
・・・何だか嫌な予感がする。
良くないお知らせなのかも・・・。
「どうかしたのですか・・・?」
「貴女様には残念なお知らせです。それは、我々にとってもなのですが―――・・・」


