その翌日。
朝日が射し込む部屋の中。
食後のコーヒーを飲み終えたユリアが寛いでいると、コン・・コンとドアを叩く音がした。
いつも通りの時間。
最初の音から一拍置いて次の音。
この独特な叩き方は、ユリアの主治医として一緒に城に来たジークのもの。
“ジークも一緒に来たのね、家の方は大丈夫なの?”
ジークがいることに驚いてそう聞いたとき
“あぁ、フレアがいるからな。任せておける”
と言ってにっこりと微笑んだ。
留守を任せられるほどに、二人の間には信頼関係が成り立っていて、羨ましいと思う。
だけど、俺は、出たくなかったんだがな、とぼそりと言う表情は一転して少しむっすりとしてた。
きっとフレアと離れたくなかったに違いない。やっぱり寂しいもの。
毎回フレアが薬を届けに来るたびに、ジークの顔が蕩けるように崩れていたのを思い出す。
早く森に帰れるといいけれど。
「ジーク様。どうぞお入りください」
侍女がドアを開け、御願いします、と言って入れ替わりに退室していく。
「おはよう。今朝の具合はどうだ?」
お決まりの台詞でそう尋ねてにこやかな笑みを浮かべたジークは、大きな鞄をゴトンと床に置いた。
王妃様から妃候補となった私の体と心の健康を毎日チェックするよう命じられてるそうで、朝食の後はこうして部屋にやってくる。
“ユリアさんは異国の地に来たばかりで気疲れしてるはずですわ。きちんとケアして差し上げて”
と、特に心の健康については気をつけるようにと厳しく言われてるらしく、少しでもむっすりとしていたり沈んだ表情なんかを見せたりすると、侍女たちに連絡がゆきたちまちあれこれと気遣われてしまうので、余計に居づらい。
普段どおりにするようにいつも気をつけてるけれど、ジークはずっと診てきたせいか、少しの表情の変化でも気付いてしまい、敏感に反応するので正直気が抜けない。
昨日から、少し虫の居所が悪いと自覚していたので、今朝は勤めて笑顔を作るようにしていた。
「うん、良し。異常はないな。以前怪我したところで痛む箇所はないか?」
ないです、と答えるとニコリと笑って書類に何やら書きこんだ。
テキパキと書類を書き終え普段通りに診療を終えたところで、今朝はジークの様子がおかしいことに気が付いた。
いつも変わらずに落ち着いてるジークが、さっきから口を開きかけては俯いて考え込んで僅かに首を振る、それを2回くらい繰り返している。
「・・・どうしたんですか?何か、問題があるんですか?」
朝日が射し込む部屋の中。
食後のコーヒーを飲み終えたユリアが寛いでいると、コン・・コンとドアを叩く音がした。
いつも通りの時間。
最初の音から一拍置いて次の音。
この独特な叩き方は、ユリアの主治医として一緒に城に来たジークのもの。
“ジークも一緒に来たのね、家の方は大丈夫なの?”
ジークがいることに驚いてそう聞いたとき
“あぁ、フレアがいるからな。任せておける”
と言ってにっこりと微笑んだ。
留守を任せられるほどに、二人の間には信頼関係が成り立っていて、羨ましいと思う。
だけど、俺は、出たくなかったんだがな、とぼそりと言う表情は一転して少しむっすりとしてた。
きっとフレアと離れたくなかったに違いない。やっぱり寂しいもの。
毎回フレアが薬を届けに来るたびに、ジークの顔が蕩けるように崩れていたのを思い出す。
早く森に帰れるといいけれど。
「ジーク様。どうぞお入りください」
侍女がドアを開け、御願いします、と言って入れ替わりに退室していく。
「おはよう。今朝の具合はどうだ?」
お決まりの台詞でそう尋ねてにこやかな笑みを浮かべたジークは、大きな鞄をゴトンと床に置いた。
王妃様から妃候補となった私の体と心の健康を毎日チェックするよう命じられてるそうで、朝食の後はこうして部屋にやってくる。
“ユリアさんは異国の地に来たばかりで気疲れしてるはずですわ。きちんとケアして差し上げて”
と、特に心の健康については気をつけるようにと厳しく言われてるらしく、少しでもむっすりとしていたり沈んだ表情なんかを見せたりすると、侍女たちに連絡がゆきたちまちあれこれと気遣われてしまうので、余計に居づらい。
普段どおりにするようにいつも気をつけてるけれど、ジークはずっと診てきたせいか、少しの表情の変化でも気付いてしまい、敏感に反応するので正直気が抜けない。
昨日から、少し虫の居所が悪いと自覚していたので、今朝は勤めて笑顔を作るようにしていた。
「うん、良し。異常はないな。以前怪我したところで痛む箇所はないか?」
ないです、と答えるとニコリと笑って書類に何やら書きこんだ。
テキパキと書類を書き終え普段通りに診療を終えたところで、今朝はジークの様子がおかしいことに気が付いた。
いつも変わらずに落ち着いてるジークが、さっきから口を開きかけては俯いて考え込んで僅かに首を振る、それを2回くらい繰り返している。
「・・・どうしたんですか?何か、問題があるんですか?」


