地平線が徐々に光り出し、生き物を育てる恵みの光が昇っていく。
こんもりとした森の木々を明るく照らし、小鳥の囀りが森の中に響き始め、大きめの耳がぴくぴくと動く。
カーテンの隙間から日が射し込み始め、ソファに横たわり仮眠を取っていたジークの髪に当たった。
―――・・・朝か。結局、あれ以外何も起こらなかったな―――
むくっと起きて目を擦りつつ壁に掛けられた時計を見やると、針は6時前を指していた。
ジークはあくびを噛み殺しながら立ち上がり、窓を開けて見張りに立っている使用人に挨拶をした。
「おはよう。ご苦労さん、疲れただろう。もう見張りはいいぞ。他の者にも伝えて、今日はゆっくりしてろ」
見張りが頭を下げ部屋に戻るのを見届け、ジークは軽くのびをして首をコキコキと鳴らした。
―――まるで何も無かったように穏やかな朝だな―――
もやのかかった空気に木漏れ日が当たり、緑の中にきらりと光る線がいくつも出来る。
木の幹の茶色と生い茂る緑、それに小さな草花の白や赤。
空気を割って斜にかかる何本もの光の線。
いつもの極上の時間だ。
この一枚の絵のような景色は、今の時間、つまり早朝しか見られない。
目を細めながら、昨日の現象を思い返し、考えを纏め始めた。
ここに来て数年経つが、あんなことは初めてだ。
雷さえも、この瑠璃の森は避けていくんだ。
たまに恵みの雨を降らせるくらいで、森の空は基本的に晴れている。
あの凄まじい閃光は雷などの自然現象でないことは明らかだ。
ならば、考えられることはただひとつ、二人に関係する何者かが引き起こしたもの。
森に弾かれ、無理に入ろうとしたのだろう。
果たして敵か、味方か・・・。
木が焦げたような匂いが朝風にのって漂ってくる。
それは結構強い匂いで、昨夜のうちから感じてはいたが、暗いうちは森の外に行くのは危険だと判断し、見に行くと言って聞かないザキをなんとか宥めたのだった。
朝は魔の力も弱まる。
恐らく、近くにはもういないだろう。
二人が起き出す前に、外の様子を見てきた方がいいな・・・。
向き合ったソファの上をチラッと見やると、ザキが丸くなっている。
若いから順応性があるのだろうか。
それとも図太いだけか。
俺は、あまり眠れんかったぞ――――
ぐっすり眠る姿を見て、少し憎らしいと思ってしまう。
気持良さげに寝息を立てているザキの耳を、グイと引っ張った。
「おい、起きろ。ザキ、行くぞ」
「――――あ?あぁ・・・」
眠い目を擦りつつ、何処に?と言いながらのんびりと体を起こしたザキを急かし、森の入口へと向かう。
木々の間を風のように走り抜け、昨日、光が来た方向を目指していく。
こんもりとした森の木々を明るく照らし、小鳥の囀りが森の中に響き始め、大きめの耳がぴくぴくと動く。
カーテンの隙間から日が射し込み始め、ソファに横たわり仮眠を取っていたジークの髪に当たった。
―――・・・朝か。結局、あれ以外何も起こらなかったな―――
むくっと起きて目を擦りつつ壁に掛けられた時計を見やると、針は6時前を指していた。
ジークはあくびを噛み殺しながら立ち上がり、窓を開けて見張りに立っている使用人に挨拶をした。
「おはよう。ご苦労さん、疲れただろう。もう見張りはいいぞ。他の者にも伝えて、今日はゆっくりしてろ」
見張りが頭を下げ部屋に戻るのを見届け、ジークは軽くのびをして首をコキコキと鳴らした。
―――まるで何も無かったように穏やかな朝だな―――
もやのかかった空気に木漏れ日が当たり、緑の中にきらりと光る線がいくつも出来る。
木の幹の茶色と生い茂る緑、それに小さな草花の白や赤。
空気を割って斜にかかる何本もの光の線。
いつもの極上の時間だ。
この一枚の絵のような景色は、今の時間、つまり早朝しか見られない。
目を細めながら、昨日の現象を思い返し、考えを纏め始めた。
ここに来て数年経つが、あんなことは初めてだ。
雷さえも、この瑠璃の森は避けていくんだ。
たまに恵みの雨を降らせるくらいで、森の空は基本的に晴れている。
あの凄まじい閃光は雷などの自然現象でないことは明らかだ。
ならば、考えられることはただひとつ、二人に関係する何者かが引き起こしたもの。
森に弾かれ、無理に入ろうとしたのだろう。
果たして敵か、味方か・・・。
木が焦げたような匂いが朝風にのって漂ってくる。
それは結構強い匂いで、昨夜のうちから感じてはいたが、暗いうちは森の外に行くのは危険だと判断し、見に行くと言って聞かないザキをなんとか宥めたのだった。
朝は魔の力も弱まる。
恐らく、近くにはもういないだろう。
二人が起き出す前に、外の様子を見てきた方がいいな・・・。
向き合ったソファの上をチラッと見やると、ザキが丸くなっている。
若いから順応性があるのだろうか。
それとも図太いだけか。
俺は、あまり眠れんかったぞ――――
ぐっすり眠る姿を見て、少し憎らしいと思ってしまう。
気持良さげに寝息を立てているザキの耳を、グイと引っ張った。
「おい、起きろ。ザキ、行くぞ」
「――――あ?あぁ・・・」
眠い目を擦りつつ、何処に?と言いながらのんびりと体を起こしたザキを急かし、森の入口へと向かう。
木々の間を風のように走り抜け、昨日、光が来た方向を目指していく。


