大きな扉を押して店に入ると、首から上の女性の人形が出迎えるように設置されていた。

薄暗い店内の天井からは、骸骨や目玉の飾り物がぶら下がり、蜘蛛の巣が張り巡らされたシャンデリアの下ではカメラマンらしき人が機材をセッティングしていた。

奥のカウンターに座っていた男性が私に気づくと立ち上がった。

「小石川芙未です。すみません、遅くなってしまいまして。」

頭を下げると、男性は恐縮した様子で

「こちらこそ、お忙しい中お時間いただきましてありがとうございます。岩倉です。今日は、よろしくお願いします。」

と言った。