「行くよ。」

大介が木の扉からそっと手を離して私の手を握った。
歩き出そうとして私は立ち止まった。

「ねえ、写真撮りたい。」
「ここで?」
「うん。」

人通りの少ない教会の前の通りでキョロキョロと人を捜すと、向こうから中年の夫婦らしき二人組が歩いてくるのが見えた。

「すみません、写真撮ってください。」

私が携帯を差し出すと、旦那さんの方が快く受け取ってくれた。