さて。



大して関わりのない人の紹介はこれくらいにしておこう。なんてったって、関わりがない。


「和泉。はよ」

『律、おはよう』


私の名前は、和泉千歳(いずみちとせ)という。

健康に長生きして、1000歳まで生きられるようにというある意味恐ろしい意味合いでつけられた名前だ。


次いで、私が呼んだ律――本名、松田律(まつだりつ)は、実にさっぱりした性格の少女である。

良く言えば自由、悪く言えば自己中な彼女は、私の友達の1人だ。もしかすると、1番付き合いが長いかもしれない。

気の強そうな大きな目は、眠そうな半開きになっている。短いショートカットの髪は所々寝癖がついているし、適当に結んだのであろう、尻尾のような後ろの髪もてんでぐしゃぐしゃだ。


『少しは格好に気を使ったら?』

「だる」

『……。』


私は何も言わず、席を立った。

すると彼女はするりと当然のように私の席に座り、さぁどうぞと言わんばかりの態度である。


毎朝ボサボサの頭でくる彼女に呆れ、持っていたくしで彼女の髪をとかし、きれいに結びなおしてやったあの日から、彼女は毎日私にそれを頼むようになった。

私も別に嫌ではないのだが、こうも平然とされるとたまには感謝の1つや2つ欲しくなる。言わないけど。

今日も黙って、律の髪を整え始めた。




――と。