「・・・ちゃん!み・・・ちゃん!・・・っ瑞歩ちゃん!」
 ・・・!
 顔を上げた。
 どこからか私を呼ぶ声がした。
 この声が誰なのかはすぐに分かった。
「はぁ・・・はぁ・・・。淳平ぇ・・・・・・!」
 あの暗闇でも私の名前を呼んでいた。
 この時、もしかたらこれも空耳?
「うあぁ・・・。」
 もうダメ。
 嫌だ、こんなことで運命が変わっちゃうなんて・・・。
「瑞歩ちゃん!」
 何もかもを諦めた私の耳に、確かに聞こえた声。
 振り向けば、やっぱりこういう時に駆けつけてくれるすごい奴。
「ふぇ・・・・。淳平ぇー・・・!」
 淳平はすぐに私に抱きついてきた。
 私も淳平に泣きついた。
「何してんのさ!こんなボロボロになって!」
「ぅ・・・。走りまくったの・・・!」
「もう・・・。」
 淳平はブツブツ言いながらも私を抱きしめる力を緩めない。
「淳平、ごめんね・・・」
「・・・謝らないでよ」
 淳平は私を体から離し、私を直視した。