言い訳をしている途中、奏は私のおでこに軽いキスをした。
「ごめんな。」
「・・・!」
 最後にこんなこと・・・。
 でも、それは覚悟の上だよね?
 新幹線が私たちの横に止まる。
 ものすごい音で駅は包まれた。
 しばらくして音はおさまってきた。
「奏・・・」
 奏は音に気を取られていたため、私の声にビクッとした。
「何?」
「・・・ごめん」
「え」
「さよならっ!」
 私は奏の手を振り切って走った。
 これが運命だよ。
 私の本当の想い。
 最後の最後でこんなにも悲しい。
 でも私は、後悔しない。
 私はバスで駅まで行き、電車に乗って帰った。
 無我夢中で走った。
 さっきから走ってばっかり。
 もう足はガクガクとしていた。
 でも、これが最後。
 私は・・・、迷わず病院へ走った。
「淳平!」
 ドアを開けると淳平はいなく、淳平のベッドは何もなくなっていた。