誠先輩かぁ。
いい人だなぁ。
誠先輩の後ろ姿を見つめながら、思わず笑みがこぼれた。
この時、拓也があたしのこと見てたなんて
知りもしなかった・・・。
あたしは、勇気を出して教室のドアを開けた。
「聖羅ちゃ~ん♪」
「なぁ、今日俺らと遊ばねぇ?」
「え・・・?」
いきなり
しゃべった事もない男子たちに囲まれてしまった。
いきなりなんだろう?
「何?」
「だから~、今日俺らと一緒に遊ぼうっつってんの!」
「ごめんなさい。今日は用事があるから。」
本当は用事なんてなかった。
だけど、なんだか嫌で嘘をついた。
「なぁいいじゃん、そんなの。なっ?」
「そうそう!」
「よくないです・・・。」
「もぉ~!ノリって大事よ?」
しつこいなぁ・・・。
あたしが男子たちの横を通り過ぎようとした時だった。
「あ、拓也!!」
どきん!
と、心臓が大きくとび跳ねた。
拓也、どこ行ってたんだろ?
「おい、聖羅。」
「・・・え?」
拓也にいきなり腕を掴まれ
ぐいぐいと引っ張られる。
「拓也っ!どこ行くの?もう授業始まるよ!?」
「・・・・・。」
「拓也・・・?」
拓也に話しかけても
何もしゃべってくれなかった。
そして連れてこられたのは
空き教室だった。
この教室は、今では誰も使っていなくて
先生も来ないから
拓也のお気に入りの場所だって、以前聞いた事があった。
あたしは拓也に無理やり教室に押し込まれた。
「拓也!?」
「うるさい。」

