「さっさとこれかけろ。」
「あ・・・」
その手には
あたしのメガネが握られていた。
あたしは大急ぎでメガネを掛けた。
「拓也ぁ?いきなりどぉしたの?」
真理ちゃんが拓也に近づくと
拓也は真理ちゃんを自分の方に引き寄せ
あたしの目の前でキスをした。
「あっ♥拓也・・・んんっ!やぁん♥拓也、あぁ・・・っ!」
あたしにしたキスよりももっと大人で
甘くて、優しいキスだった。
「真理、真理・・・」
「・・・っ!///拓也ぁ♥♥」
苦しい。
真理ちゃんの名前なんて呼ばないで。
あたしだけを見て。
あたしの名前を呼んで。
お願い、拓也・・・っ!
「~~~~っ!!」
あたしは耐えきれずに
教室を飛び出した。
こらえていた涙があふれ出す。
「ふぅ・・・っ!うぅ~っ」
あたしは1人きりの音楽室で、声を押し殺して泣いた。
すると・・・
「大丈夫?」
綺麗な男の人が立っていた。
あたしを心配そうに見下ろしている。
わぁ・・・
かっこいいなぁ・・・。
「なんで、泣いてるの?」
あたしは
どうしてもこの人に全てを打ち明けたくなった。
あたしの苦しみを聞いてほしかった。
これ以上1人で抱え込むのは
もう無理だった。
あたしの心は、もうボロボロだった。
「・・・そっか。辛かったな。」
あたしが話を終えると
そう言って頭を優しくなでてくれた。
「俺、3年の橋本 誠(はしもと まこと)。君は?」
「あ、あたしは2年の桜庭 聖羅です。」
「聖羅?可愛い名前。」
「そ、そんなっ!!」
こんなカッコイイ人に褒められて
あたしの頬はついつい緩む。
「またなんかあったら相談して?いつでも聞く。」
「ありがとうございますっ」

