浮気彼氏×一途彼女




あたしは、震えながら顔をあげた。

「んっ・・・!!」

「ヒューッ!」

「やれやれぇ!いいぞっ!!」

ヤダ。
泣きそう・・・。

そして突然
「あっ!ん~っ!?」
拓也の舌が、あたしの口内に侵入した。

「た・・・くやっ!んぅ!!苦し・・・っ」

「しゃべんな。キスしにくい。」

クラスメイトは
みんなポカンと口を開け、あたし達を見ていた。
真理ちゃんなんて、顔中に焦りの色を浮かべて
あたしを憎らしそうに睨んでいた。

「あっ!!拓也ぁ・・・っはぁ・・・もぉ・・無理だよっ!!」

足がガクガクと震える。
頭がボーっとする。

「聖羅、ディープキス、初めて?」

「~っ///」

あたしは、拓也に腹が立って腹が立ってしょうがなかった。
中学からずっと拓也との恋愛しか知らないあたしが
拓也以外の男の子とキスなんてするわけないのに・・・。
それを知っててわざと聞いてるのか
それとも本気で聞いてるのかは分からなかった。

だけど、こんなの酷すぎる。

「いつまで寄りかかってんだよ!さっさと離れろよ気持ち悪ぃ。」

拓也があたしを乱暴に突き飛ばした。
あたしは派手にこけ、メガネが飛んでしまった。

「あ・・・っ!メガネ・・・。」

「うおっ超レアじゃん!桜庭のメガネ掛けてない顔!」

男子たちが近寄ってくる。
怖くて怖くて、ただ後ずさりした。
拓也を見ると、『しまった』という表情で、大急ぎであたしのメガネを探し始めた。

「どうせそんな可愛くねぇんだろ?(笑)」

「だよなぁ(笑)ほら、こっち向けよ・・・って、え?」

「・・・マジかよ。」

男子たちはあたしの顔を見るなり
全員固まってしまった。
なんだろ?
あたしはただ怖くて・・・。

すると・・・
「見るんじゃねぇよ!」

拓也が大声で叫んだ。
全員が驚いて拓也を見た。
その拓也の表情は
焦り・怒り・不安を映しだしていた。

「離れろ!てめぇ等みんじゃねぇよ!!」

そう言ってあたしを抱きしめた。

「拓也・・・?」

信じられなかった。
拓也が、あたしをかばって・・・。