「 なにが欲しいんですか? 」 財布の中身を思い出しながら 先生の声に耳を澄ませた。 「 ──────────・・澪 」 「 なんですか? 」 「 いや、違う 」 「 ・・・・? 」 先生急にどうしたんだろう、って 首を傾げていたら、先生が少しだけ怒った。 耳朶を噛まれて、痛みに顔を歪めていたら、 「 ・・・・欲しいもの、澪 」 聞こえるか聞こえないかの声で そう言われて、私はそのまま しばらく動けなかった。