大きくて温かい手。 癖のない黒い髪。 意地悪で、だけどどこか優しい声。 本当は先生と歩きたくて、 先生と手を繋ぎたくて。 「 ──────────・・私、・・・・ 」 先生じゃないと。 こんなに近くに居るのに 手を繋いでいるのに 全然ドキドキしなくて、 感じるのは、”嫌悪”だけで。 「 ・・・俺の前で、泣くの? 」 「 え・・・? 」 「 いいよ、泣いても。 別にいいけど・・・ 」 そっと離された手。 その手が頬を伝っていた 涙をグイッと拭った。