貴方の笑顔は全く変わらなかった
幸せそうな笑顔、みんなが集まってくる笑顔
私がぼんやりとその笑顔を見ていると
目が合ってしまった
そして、何を思ったのか大地は
私の方に向かってきた
私は少し焦って、左耳に髪をかけた
大地は私の目の前に立ち、
「卒業おめでとう。
あんま話したことないからさ、
喋ろうと思って。」
と言われて、驚いた
声を掛けてくれるなんて
思ってもいなかったから
私は「卒業おめでとう。
そう言えばそうだね。
1、2回しか喋った事ないしね。」
「うん。奥田、見かけによらず喋らないから。」
「なにそれ。見かけで決めないでよね。
あたし、結構真面目なんだから。」
「あぁ、そうだったな。テストの点もいいし、
先生に質問されてもすぐ答えてたしな。」
「安田は反対にずっと寝てて、
先生に怒られてたよね。」
お互いにいつも間にか、言い争って
笑っていた
「あーあ、もう少し早く喋ってたらよかったな。」
「そうだね。そしたら、もう少し
学校楽しかったかも知れないね。」
「だな。あれ?奥田ってピアス開けてたんだ?」
「あ、うん。卒業に開けた。」
「へぇ、涙型のピアスだな。綺麗だな。」
「でしょ。おじいちゃんがくれたんだ。」
「へぇ、うん。綺麗だ、似合ってる。」
「本当?ありがと。」
「あっ、じゃあこれやるよ。同じ形だけど。」
「涙型のピアス…。ありがと。」
「いいよ。じゃあな。喋れて楽しかったよ。高校行ってもがんばれよな。」
「うん。安田こそがんばれ。喋れて本当に楽しかった!!ありがと。」
「おう。またな、何処かで会おうぜ。」
「うん。ばいばい。」
私は幸せいっぱいだった
そう、それで忘れらなくなった
