私は、沖縄便がドコから乗るのか分からない事を伝えた。
彼は私の目を見ながら、でも手も見ながら、私と会話してくれた。
「沖縄便か....
あれ、それって正午に出るやつですか?」
「...そうですケド...何か?」
「いや、俺が操縦するやつだな...って」
照れた笑いを浮かべると、人差し指でゲートを指す。
「あそこから入れば、案内もきちんとありますし、安心して沖縄まで行けますよ」
彼はそう言うと、床に置いていた荷物を持つ。
「短い時間ですが、よい空の旅をお過ごしください」
肩の三本線は、副機長だと聞いたことがある。
彼は帽子を被ると、四本線が輝く人のところまで走っていく。
「ったく、お前は何ナンパしてんだ」
「ナンパじゃありませんよ、お客様がお困りだったんで、手を差し伸べただけですよ」
「お前が言うと、下心だな」
「勘弁してくださいよ、機長....」
私には、会話は聞こえなかったケド、信頼し合っているのは良く分かった。
ちょっとだけ、苦だった沖縄までの旅が
彼のおかげで楽になった。