彼は気にしていないのか、首を傾げた。
「...困ってるんです。
私。」
彼が気にしていないなら、別にいいや。って思って話を変える。
それに彼もこれから、フライトかも知れない。
暢気に話している場合では無い。
「困ってるのは分かります。
目がさっきから、泳いでましたから」
クスリと笑っている表情をして、私の真似をした。
...そんなに、目を泳がしてた記憶は無いんだけど。
「そんな顔してません!!」
「ごめん、ごめん。
いや、でも似てると思いますよ」
怒った表情をすると、なだめるように私に謝る。
この人の一つ一つの行動には、嫌味が無い。
だから、安心して自分の嫌いな部分を出せた。
でも、手話で話す私の視線は、痛いのがあるケド。
「で?
お困りな事って、何なんです?」