ただ“聞こえない”と書いただけなのに、彼は理解してくれた。
「そうでしたか。
....じゃあ、こちらのほうがいいですね」
唇の動きは早く、今度は読み取れなかった。
言葉は読み取れなかったけど、彼はニコリと私に笑って見せた。
すると、今度は私に伝わる“会話”をする。
「お困りですか?」
手話をスムーズにやる彼を見て、パイロットさんもお客さんに接することが出来るように、訓練されてんだ...と思った。
「あれ?違いました?
“お困りですか?の手話って....」
手話をしながら、困惑の表情をする彼。
私はこれでもかってくらいに首を振る。
「違います。
手話...出来るんだ...と思って」
私も、小さい頃から慣れている“会話”をする。
そして、今の言葉は偉そうだな。と思った。
「ゴメンなさい。
偉そうに........」

