掲示板を見ても視力が悪くて、満足するように見えない。
本当に、いい歳して泣きそう。
「どうかなさいました?
....聞こえてねぇーし。」
肩をポンポンと叩かれて、ビクリとしながら後ろに振り向く。
すると頭を静かに下げられ、視線がぶつかった瞬間
心臓が張り裂けるかというくらいドキドキしだす。
周りにいる人々も、移動中のCAも、この空間にいるすべての女性が、彼を一点に見つめていた。
それくらい彼はカッコよく、パイロットの格好が似合っていた。
「どうかなさいました?」
「...........」
いつまでも喋らない、ただ紙を握り締めるばかりの私。
何か書かなきゃいけないのに、書けない。
せっかく声をかけてくれたのに、疲れさせてしまうんじゃ無いかって。
「もしかして...耳?」
右手の人差し指で、自分の右耳付近を叩く彼。
唇の動きでかすかに分かる、彼の言葉。
私はペンを握り締めて、紙に走らせた。