もちろん、喋れます。


でも、発音も声質も可笑しいと笑われてしまいます。



声は出てるのは分るけど、自分の声は聞こえない。




どう発音していいのか、どういう声はいいのか、未だに分りません。




だから、私は遠出というものが嫌いだ。



知らぬ土地に、喋れない、聞けない私が行く。



日本国内の沖縄に行くだけなのに、こんなにも冷や汗をかいている。



きっとCAさん達に聞いたら、営業と言う名のスマイルで、私と会話をしてくれるでしょう。



でも、お盆真っ盛りのこの時に。


私がCAさんを引き止めることは、まず出来ない。



声を出して困っている人がいれば、紙に書いてる私より、そっちに足が向かうでしょう。



紙に書いてある文字は、気づかれなきゃ見てくれません。



声は、大きな声量であればあるほど、気づいてくれます。




私は、ただただ紙を握り締めました。



もう搭乗口の近くにいなければならない時間。



でも、ドコが搭乗口なのか分らない。



私の叫びに、悩みに気づいてくれる人なんて、この空間にいる気がしない。