「あなたがいるなら。
あなたが操縦するなら。
あなたが私に気づいてくれるなら、考えます」
それが、素直な気持ちだった。
好きとか、そんなんじゃなくて。
人生の中で、今までで一番、親切な人だから。
「....帰るのって、明日?」
「いえ、どーせ泊まるなら作家とネタ絞れって、編集長が」
「つまり?」
「帰るのは、明後日です」
泊まれって命じたのは編集長なのに。
どーせ泊まるなら。
なんて、台詞のチョイスを間違えてる。
彼は頭をかくと、ズボンのポケットから携帯を取り出した。
「携番とメアド、交換しよう」
「えっ?」
「それで、一週間後に会いませんか?」
いきなりの言葉に、出しかかっていた携帯を床に落とす。
でも、あまりの真剣な顔に
私は、ただただ見とれて
ただただ、頷くしかなかった。

