「編集長...だっけ?
その人の名前は?」
彼に紙とペンを渡されて、私は編集長の名前を書く。
すると、彼は私の頭をポンポンと叩いた。
「何?」
「話が長くなるだろうから、あっちで座ってて。
きっとホテルのチェックイン以外にも、何かあったんだろう?」
ありましたよ。
今日だけで、数え切れないほど、嫌な思いしましたよ。
でもソレは
全部、私が悪いことだから。
「分かりました。
...ありがとうございます。」
私は涙を堪えて、フロントにある椅子に腰を下ろす。
ただのパイロットなのに、変な人。
それが、今の私の心境だった。
パイロットなのに、手話が出来て。
たった一回会っただけなのに、こんなに親切にしてくれて。
今まで、見たことが無い
大きな優しさだった。

